カサ・アカリ
「あかり」とは、ふりそそぐおだやかな光のちからによって、人々を身体的・精神的・社会的に良好な状態 (Well-being) に導く雰囲気と空間を創り出し、私たちの感覚や感情を刺激する日本的な概念です。
この「あかり」の感覚を応用するアイデアを羅針盤としてプロジェクトを進めました。
1910年に建設された建物内の屋上テラス付の2階建てのアパ-トのミニマリストをコンセプトにした改修計画です。
このアパートは売りに出ていて、クライアントはこのアパートの将来の可能性を確認して購入を決定するために、購入前から正式に改修プロジェクトを依頼してきました。
建物は交通量のある道に隣接し、開口部のほとんどが北向きで、構造と内部動線に欠陥のあるアパートでした。ほとんどの部屋には直接光が入らず、テラスへ続く独立したアクセスもありませんでした。屋根は状態も悪く、現存の屋根の上に漏水対策として設置された波板で覆われていても、更に水漏れをしている状態でした。
アパ-トにとりこむ光のクオリティーを高めて、家のなかを光が巡るようにしたいというクライアントの願望に加えて、このプロジェクトの原動力として ”reducir para multiplica” 形や素材を単純化し、そのシンプルさによって個性で豊かな空間を創り出し、3つのそれぞれの階での生活を楽しめるにようにしました。
1階は、古い区画化されたをレイアウトを5枚のスライドドアによって玄関兼廊下、寝室兼書斎のように多目的で流動的にスペースとして共有し、振幅と視覚的な奥行きの感覚を刺激するようなフロアプランとしました。
上階へのアクセス階段位置を再編成し、光が注ぎ込む、廊下と一体化した階段にしました。階段の元あった位置には、コンパクトなバスルームを配置しました。
2階は、採光不足を解消するために大きな天窓を設置しました。
そこから自然な照明を取り入れて、白い家具で光を倍増させ、バスルームと、2つの既存の窓があるリビングルームにも自然光をもたらします。リビングの横にはテラスへ続く側壁を取り除き、構造そのものを強調したカーブを描く彫刻のような階段があります。
この階には主寝室もあり、バスルームの外側にある洗面台要素と赤いタイルでアクセントをつけた立方体の形をした個性的なバスルームがあり、スライドドアによって他のスペースと区切っています。
屋上階の主役は360度のパノラマビューを望むテラスです。そして外光を最大限に利用できる天窓と慎重にスタディされシンプルな形状で構成されたガラス張りの階段室は快適さと暖かさを刺激する目的でアパートのすべてのスペースへと光を投影していきます。
都市 バルセロナ
延床面積 67m²
用途 住宅
年 2019
写真 Jose Hevia
プロジェクトの写真ビデオ (ビフォー&アフター)
3D モデルビデオ
既存図
屋上階、2階、1階平面図
計画図
屋上階、2階、1階平面図
屋上階平面図
2階平面図
1階平面図
断面図